刑事事件における書類送検とマスコミ報道の問題点

「書類送検」はマスコミ用語に過ぎない

「Aさんを殺害したとして、B県警は、無職の男性C容疑者を、殺人罪の容疑でD地方検察庁に書類送検した」というマスコミ報道をよく目にします。
これだけの情報だと、Cさんが犯人だと思い込んでしまう人もたくさん出てきてしまうと思います。
実はマスコミの刑事事件報道における「送検」という言葉は、法律の専門用語ではなく、マスコミが作ったマスコミ用語です。

法律用語は「身柄なしの送致」

書類一式を、警察から検察に送付することを言うため、このように言われるようになったそうです。
刑事訴訟法上の法律用語では、書類送検のことを「身柄なしの送致」といいます。
マスコミは、警察が報道機関に発表した報道を受け、報道するかどうかをマスコミが独自で判断します。

マスコミが実名で報道する理由

各社内部での話し合いの結果、報道するとされた場合、マスコミは原則実名で報道します。
事件報道をする際に、「いつ、どこで、誰が」の情報は、事件の内容にかかわる重要な要素とされているためです。
マスコミが実名で報道する理由はそれだけではありません。
マスコミは次の新聞やニュースのための「特ダネ」が欲しいために、実名で発表し、あたかも容疑者が犯人であるかのように報道します。
警察内部で意見の分かれる不確かなものであってもです。

なぜ不確定の情報がマスコミでは報道されるのか?

なぜ警察内部で意見の分かれる不確かなものが報道機関に発表されてしまうかというと、警察だけが情報を独占する状態がよくないものとされているためです。
マスコミによる実名報道により、周りの人から犯人視されてしまい、人権侵害を受けた人は多くいます。
仕事を失った人、家族にまで影響があった人、中には自殺をした人までいます。
このような被害があるにも関わらず、マスコミはよほどのことがない限り謝罪や訂正をしません。
マスコミの報道による被害を減らすためには、マスコミの情報を鵜呑みにするのではなく、まず疑い、自分で調べて考える。
この心構えが大切なのではないかと思います。